過去問
公立高校の入試まであと1ヶ月。5年間の過去問をしっかり勉強して去年の入試問題を長男にやってもらった。結果5教科で310点。半年前に比べて280点アップ。
長男はよく頑張ったと思った。
それとずっと勉強を教えてくれたおじいちゃんには感謝しかない。310点だとギリギリだ。あと30点ほしい! ピアノの実技は完璧に仕上がってる。
未だに長男の高校受験の夢を見る。いい夢と悪い夢。
どーなることやら…
仕事中もそのことばかり考えてる。合格してほしい。そして大好きな音楽に囲まれて学生生活を送ってほしい。 残り僅か。まさに背水の陣。
眼鏡
まだ音楽科の高校も受験していないのに長男の同級生のママ達からは、先日受験し合格した私立に行く事になったという噂が広まった。
仲のいいママ友が僕に教えてくれた。
生徒達ならまだしも保護者までうちの長男の噂をされるのは、あまりいい気分ではない。放って置いてほしかった。
学校では相変わらず同級生から音楽科の高校受験する事を笑われていた。
あまりにも悔しいので学校から帰宅後も外にはほとんど出ず、勉強とピアノを前よりもさらに時間を費やし頑張っていた。
そしてある日突然、「お父さん、最近、学校の黒板が見えにくい。目が疲れているだけかと思ったけど違うみたい」と言った。勉強のしすぎです目が疲れているだけだろうと思ったが、念のため眼科に行く事にした。
週末に長男を連れて眼科に行った。
検査の結果視力が1.0と0.8になっていた。びっくりした!前まで2.0あったのに!
次男はアホみたいに毎日長時間ゲームやiPadやってるのに全然目悪くならない。
遺伝なのか?
いろいろ考えたが考えても仕方がない。
とにかく早く眼鏡を買わなければ!
ということで日曜日に眼鏡屋に行った。初めて入る眼鏡屋…凄い数の眼鏡だ…おじさんくさいのもあれば、芸能人がかけていそうなオサレなやつまでいろいろあった。
長男は何度も鏡を見てチェックしていた。今まで眼鏡をかけていなかったので、何をかけても違和感はあったが、できるだけ安くオサレなやつがほしかった。
長男は青いフレームと黒いフレームの2本を選んだ。2本で15000円!
まぁ…しゃーない!と思いながら購入。
後日、じいちゃんに眼鏡2本で15000円だったと話したら「今は安いなぁ〜昔は十万前後したぞ」と言ってた…そーだったのか・・・・
僕は最近、老眼になったが、目は良かった。2.0あった。
なので眼鏡屋とは無縁なのでメガネの値段なんて知る由もなかった。
長男は勉強して目が悪くなったのか?
それとも・・・あまり思い出したくはないが、母親がメガネをしていたので遺伝なのか?
まぁきっかけは勉強だろう。息子は特に眼鏡をしたことにショックは受けていなかった。逆にカッコイイと思ったみたいだ。
周りを見れはみんな結構眼鏡だ。
音楽科の受験まであと1カ月!
がんばれ長男!音楽科は金はかかるが、そんなことはおれに任せろ!
第1段階クリア
先日、長男が受験した私立学園からウチに封筒が届いた。受験結果だ。
もし不合格だっら万事休す。
できれば高卒にしてあげたい思いからか不安も相まって封筒の中身を見るのに勇気が必要だった。封筒の中身を見た。
合格と書かれていた。
第1段階クリアと言ったところか。
長男が切実に希望している音楽科の高校受験まであと僅か。
毎日ツェルニーの練習してたのでかなり弾けるようになっていたが問題は学科。
長男は1日も休まずにおじいちゃんと向き合って勉強をしていた。
ある日、自宅で高校受験の過去問をやっていた。じいちゃんが採点したとことなんと230点!この4ヶ月間で良くやったと思う。
残り2ヶ月。
最低でもあと100点増やしたい。彼の努力は続く。
私立
私立学園の入試に行った時の話。この私立学園を卒業すれば高卒になるという中学校の担任に勧められた特殊学園だ。
長男が目指している音楽科の高校が不合格だった場合の、いわゆる滑り止めだ。
受験会場である学校の近くの駐車場まで車で行き、駐車場から学校まで一緒に歩いた。長男は無口だった。上目遣いになったり俯いたりキョロキョロしたり、すごく不安で、すごく緊張しているのがわかった。
こんな長男を見るのは初めてだった。ブラジリアン柔術の試合の前も緊張していたが、ここまでではなかった。
校門から学校に入っていく長男に頑張ってこいよ!と声をかけた。
長男は少し振り向いて頷いてから不安そうに校舎に入っていった。
しばらく校門で立って受験に訪れる中学生たちを見ていたが、いろいろな子がいた。
背が高くおしゃれでモデルでも通用しそうな子や、長男みたいな子もいれば、やんちゃそうな子、AKBにいそうな子。本当に外見だけでもいろいろな個性を持った子が受験に来ていた。
なかなか楽しそうな学校じゃん。でもまたイジメられるかなぁ・・といろいろ考えながら駐車場まで戻った。
車の中で待機中に長男には申し訳ないが学費のことを計算していた。私立なので公立に比べ学費が驚くほど高い。鞄の中あった通帳と学校からもらった学費のプリントを交互に見ながらため息ばかりついていた。赤字だ・・・
2時間くらい経って悩んでも仕方がないと思った。
どのみち高校には行かせなきゃならないんだ。頑張って仕事で好成績を出すしかない。
やるしかなかった。
しばらくして長男が駐車場まで戻ってきた。
「どーだった?」と聞いたら「まぁまぁ」と言った。
「問題わかった?」って聞いたら、それも「まぁまぁ」と答えた。
どーなることやら・・・
とりあえず「おつかれさん!今日は、かっぱ寿司行くぞ!」と労いの言葉を言ったら笑顔になった。
なんちゅー単純なやつだ。
そして僕と長男次男3人でかっぱ寿司へ行った。
6000円近くかかった。積み重なる皿・・・どんだけ食べるんだよ・・・
まぁ仕方がない。次の日から超粗食生活になるが・・・我慢してくれ。
また明日から音楽科の高校受験に向けて頑張ってくれればいいさと思いながらかっぱ寿司を後にした。
自閉症の将来?
いわゆる一般的な人達より優れた部分を持ってる人や、一般的な人達とは違うものを持っている人。
動体視力が優れていて野球やボクシングで活躍する人や、IQが異常に高く神童と呼ばれる人。
長くしなやかで強靭な足を武器に陸上競技で活躍する人。超絶イケメンでダンスが上手い人もいる。
そういう人は羨望の眼差しで見られたり、尊敬されたりする。
しかし一般的な人達と違うところが身体の障がいだった場合どうだろう?好奇の眼差しで見られたり、敬遠されたりする。
可哀想と思われたり、同情されたりもする。
それならまだありがたい。
無視されたり馬鹿にされたり、酷い時は暴力の的になることがある。これは小中学校だけではない。
先月、ネットで話題になった東海地区のある企業も交通事故で足が不自由になった従業員に対して上司が暴力を振う動画が拡散されていた。さぼったり怠けたりしているわけじゃない。
他の大勢の人達より身体的に劣っている部分がある人をいじめるのは大人の世界にも存在するんだ。
特に自閉症やアスペルガー、認知面の発達障がいや知的障がいなど脳に関連する部分に関して理解してもらえない人が多々いる。
理解していても家庭や仕事のストレスのはけ口の矛先が職場の障碍者に向く場合もある。
自分の息子はどうだろう? 小中といじめられて大人になってもいじめられるのか?
その可能性は大いにある。一見、体が大きく健康そうに見えても自閉症なのだ。
現在、大きな企業の大半はコンプライアンスを守ってる。ネットやメディアが発達したおかげで国民が厳しく監視しているからだ。労働基準監督署も目を光らせている。社員も沢山いるので助けてくれる人も中にはいる。もし問題が起きても会社は自社を守るために解決の方向に動くだろう。
しかしこれができない、行政の目の届かない小さな工場や清掃業などでは格好の餌食になる可能性が高い。(偏見と言われるかもしれないが、営業で数々の会社を見てきた僕は知っている。)
基本的に自閉症の人は会社を退職するという選択肢がない。退職という言葉が頭に浮かばない人もいれば、後がないと思い不安になる人もいる。
会社もむやみに解雇できない。
だからブラック企業に勤めたら倒産するか、定年まで苦労することになる。
僕は歳をとっていつかは死ぬ。予定通りであれば息子より早く。
不安や心配の中、死んでいくのは絶対避けたい。
今まで僕は長男の住める世界を模索していた。
サッカー?水泳?習字の先生にでもなるか?いろいろ探した。
そして、とうとう見つけたのがピアノ。そして格闘技だった。
今、ピアノは長男の生きがいだ。ピアノの世界で食べていくのは大変だ。
もちろん格闘技もだ。
しかしピアノも格闘技も彼の自閉症を理解してくれる世界ということだけはわかった。
目標を持った人間は強い
じいちゃんとピアノの先生の協力の元、長男の高校受験計画が進んでいた。というか月日が経っていた。受験まで残り3ヶ月ちょい。残された時間は少ない。
この頃、ふと気付いたことがある。長男が家族と話しているときに気付いたのだが、長男が以前に比べ、話し方が上手くなっていた。3か月前までは、話の内容の前後がなく、それを聞いていた家族の誰かが、いつ?どこで?と聞かないと話の内容がまったくわからなかった。
それが、いつ?どこで?何を?をきちんと話せるようになっていた。
じいちゃんと口論しながら勉強してるから口が達者になったのか?
国語の勉強をしているから?
勉強漬けで脳の回路が変わったのか?
気のせいではなく、次男もそれを気付いていた。「最近、兄ちゃん成長したなぁ。いいことだ」と偉そうに言っていた。別にバカにしているわけではない。次男は自分が偉そうで大袈裟なことを言うとみんなが笑うことを知っているからこんなことを言っただけだ。
とにかく学科の成績はともかく、勉強によって成長したのだと思う。
生きていく上でとても大切なことを身に付けてくれた。これだけでもすごい収穫だった。
学校から帰るとじいちゃんの家に直行。毎日6時間は勉強していた。土日は朝から晩まで。不貞腐れたり目に涙を浮かべたり理解できたときは笑顔になったり。
ほんと実家に足向けて寝られないくらい感謝している。
毎日毎日、勉強とピアノ。
長男は、毎日の勉強でかなり頭が煮え切っていた。頭をクールダウンさせるために週に1度はブラジリアン柔術の道場に通っていた。そして激しい練習をこなし、そのあとは道場の仲間と笑いながら雑談していた。汗を流すとすっきりすると長男は言っていた。
しかし学校では相変わらずイジメに遭っていた。また暴力的な嫌がらせをたくさん受けていた。
それに「バカがあの高校受験するらしい」教室はその話題で持ちきりだったらしい。(こんな時期に・・・人の事より自分のことを心配しろと思った)
しかし長男は耐えた。
同級生から何を言われようが気にしなかった。
長男には目標があるからだ。あのたくさんのピアノやいろいろな楽器の中で高校生活を送りたい!長男はそのことで頭の中が一杯だったはずだ。
目標がある人間は強い。僕は心の底からそう思った。
「夢に向かって努力しろ!努力を継続すればいつか必ず報われる」アメリカのアスリートや起業家達の定番の発言である。
とりあえず、いいこと言えばいいという感じで発言しているかと思っていたが、違った。
やはりそーなのだ。
常識的に考えても、目標に向かって失敗しても諦めずに必死に努力をすれば、いつかは目標に到達するだろう。確かにその通りだと思った。
もし目標に到達できなかったとしても、ある程度いいところまで行けるはずだ。
今は努力と辛抱しかないと思った。
がんばれ長男!
勉強する癖を身につけろ
「長男には勉強する癖をつけさせる」
じいちゃんが僕に口すっぱく言っていた。
癖をつけると言っても・・・ 悪い癖を直すのは沢山やったことあるが 、良い癖をつけたことはそんなにない。
しかも勉強する癖って・・そんなこと癖になるのか?
じいちゃんにそれを言われるたびに疑問が湧いた。
僕は勉強好きになるように楽しく勉強したほうが良いのではないかと思っていたが、じいちゃんは真逆だった。
厳しく勉強を教えていた。理解できるまで根気よく粘り強く怒鳴ったり怒ったりイライラせず、コツコツと。
長男はなかなか勉強が理解できず不貞腐れていた。
しかしどうしても音楽科の高校に行きたい。沢山の楽器に囲まれた高校で学園生活を楽しみたい。バカにした同級生を見返したい。そんな思いから、根を上げずに頑張って努力していた。
二人が勉強してるのを見てわかったのは、じいちゃんは長男に対して
「なんでこんなこともわからないんだ!」とか「この前やっただろ!もう忘れたのか!」「ばか」「あほ」
みたいな自尊心を傷つけることは一切言わなかった。
とにかく理解するまでコツコツやるだけだった。
長男は目に涙をためる時もあった。煮え切った頭に理解できない悔しさが出てくると勉強は頭に入らない。
その時は一旦休憩。お菓子やアイスを食べて頭をリセットさせて15分後に勉強の続きを再開していた。
じいちゃんはマジだった。まるで自分の残りの人生を懸けているように見えた。日中は自分の記憶を甦らせるためにずっと参考書を見て勉強していた。過去問を買ってきて自分でテストしていた。すごい執念だった。ここまでやってくれているじいちゃんを見て申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいだった。
じいちゃんは言っていた。「自閉症でも目標に向かって集中して努力し続ければ波に乗れるタイミングが必ず来る」「ブラジリアン柔術でも続けていたからこそトーナメントで優勝するなどの結果が出た」と。
この頃既に小6終盤の勉強をしていた。
残された時間は少ない。
受験まで残り4ヶ月。