おじいちゃんの記憶を取り戻せ

長男はおじいちゃんに勉強を教えてもらう事にしたと言った。土曜日も日曜日も朝から晩まで教えてくれると言ってたらしい。

 

おじいちゃん?できるのか?確かにおじいちゃんは中学校の教職員免許を若かりし頃に取得したと言っていた。しかし僕が小中の頃、勉強を教えてもらった事はないし、大学卒業からずっと営業職で夜遅くまで働いていた人だ。68歳のおじいちゃんが昔の記憶を辿って教えてくれるのか?

でも高卒の何の資格もない僕が教えることはできない。

しかも金が無い。

結果、おじいちゃんしかいない。

 

おじいちゃんは参考書や教科書の解読本みたいなのを大量に買ってきて、昔の記憶を蘇らせるために日中はずっと勉強していた。

 

長男が学校から帰ってくると自分のアパートには寄らず、そのまま実家のおじいちゃんに会いに行った。

夜中までマンツーマンで勉強していた。

長男は最初、おじいちゃんの説明が解らなくてイライラしていた。とにかく、なかなか覚わらない。

おじいちゃんは根気よく説明していた。

受験まで半年を切っていた。

 

僕は父親として何もできないことに情けなさを感じていた。

できる事は稼いで家事をして飯を作ることだけだ。

最低でもそれだけはしっかりやろうと思った。

 

地元新聞の学力テストがあった。もちろん長男も受けた。

 

結果は5教科37点

 

まだおじいちゃんとの勉強を始めて間もないから仕方がない。